学者たちを駁して

人文書中心の読書感想文

読書法について

読書の秋ということで今さらながら自分の読書法を見直してみた。

現在ぼくは以下の手順で本を読んでいる。

  1. 本を購入する
  2. 購入した本を裁断機で裁断する
  3. 裁断した本をスキャナで読み取りPDF化する
  4. スキャンミスがないかどうかをチェックする
  5. 作成したPDFファイルをPC内の所定のフォルダに格納してファイル名をつける
  6. 格納したPDFファイルをiPadに同期し、GoodReaderで閲覧する


ipad同期後は次の三つのルールに従って読書メモを取る。

  • ルール1 読書メモは原則としてFasteverで取りEvernoteに保存する。
  • ルール2 しおりはGoodreaderのブックマーク機能を利用する。
  • ルール3 五色のラインマーカーを用いて色分けする。

    
     黄緑    重要箇所
     ビリジアン 著者の目的や意図
     水色    問い、疑問文
     黄色    理解できない箇所
     薄ピンク  固有名詞、専門用語

技術的な問題を抱えているのはルール3のブックマークの部分である。
Goodreader内でブックマークをつけても、本を読了してipadからPCにPDFファイルを戻そうとすると、どういう訳かせっかくつけたブックマークが消去されてしまうのである。
ラインマーカーやメモは消えないのに、なぜブックマークだけが消えるのか。
原因は不明だが、これ以上この問題を放置しておくことはできない。

そこでブックマークデータをEvernoteでバックアップするという次善の策を思い付いた。
差し当たり次の手順でブックマークのバックアップを行うことにする。

7.Goodreaderで作成したブックマークデータをEmailでEvernoteに送信する

8.作成したブックマークデータをEvernoteで編集する
f:id:rodori:20171016010520p:plain

従来の1~6の工程に加えて、今回新たに7及び8の事務作業が発生することになり、読書の作業感が半端ない。
しかしながら、Evernoteにバックアップすれば本から得た二次データをEvernote内で一元管理することができるようになるし、作成したブックマークデータをそのまま術語集として転用したり、注釈をつけて読書ノートにすることもできる。

例えばついさっき読了したジャック・デリダの『友愛のポリティックスⅠ』からは↓のようなブックマークデータを作成することができる。要するにブックマークデータの編集・加工を通じて読書体験のさらなる質的向上に役立てようというわけだ。

Page 6 目次
Page 19 政治的なもの、家族・兄弟愛主義的、男性中心主義的
Page 20 親子関係の図式論と政治的なもの
Page 36 アリストテレス 友愛についての問い
Page 37 †愛(エロス)と友愛(フィリア)、『愛するということ』、『バートルビー
Page 39 政治:できるだけ多くの友愛を作り出すこと
Page 39 能動と受動、愛することと愛されること
Page 41 †《人は愛していると知らずに愛することはできない》、悪
Page 42 神(=第一動者)における愛のアポリア
Page 44 ナルシズムと愛されることの結びつき
Page 46 愛することと生者・息吹/死者・生気の無いもの
Page 47 生き残ること、喪
Page 48 友愛と時間
Page 49 確実性(べバイオス)と信頼、時間
Page 50 決断
Page 51 友愛の構造、計算できるもの(確実性・信頼)/計算できないもの(決断)
Page 54 事後性、出来事
Page 56 共に生きること、時間がかかること、有限性
Page 57 元からの友とこれから友になるかもしれない人
Page 58 (現実性によって)限定された多数性
Page 59 民主制の還元不可能な二つの法則
Page 63 注 差延、慈愛、中動態
Page 70 おそらく、将来・出来事/過去・哀悼
Page 71 不安定なもの
Page 75 テレイオポイエーシス的なもの、メシア的構造
Page 79 ニーチェ 孤独な独りぼっちの友たち、SNS、隠遁的共同体
Page 82 将来の哲学者/形而上学
Page 84 おそらく→根源的同意→問い
Page 86 平準化する者たち、アメリカの自由主義者たち
Page 87 苦悩の廃棄、憐れみ
Page 89 ★新しい哲学者たち
Page 94 万人の真理、繊細さ
Page 96 注 哲学者たちによる「おそらく」への侮蔑
Page 97 注 バタイユブランショ・ナンシーの共同体論
Page 98 注 兄弟愛なき共同体
Page 107 沈黙
Page 116 沈黙、慎み深さ
Page 116 不気味なもの、見知らぬもの
Page 122 兄弟=同胞、徳
Page 128 所有及び近接性への批判
Page 132 決断主義アポリア
Page 133 !決断の図式は主体を前提としている、受動的な決断
Page 135 !決断の他律的・無意識的性格
Page 145 冷戦終結後の世界、敵の喪失
Page 146 シュミット 敵の喪失
Page 155 シュミット
Page 164 例
Page 169 兄弟化、家族主義
Page 170 優性学、土着性
Page 173 バンヴェニスト、兄弟
Page 179 民主主義と土着性、選良、優性、外国人嫌悪
Page 181 民主制と貴族制、数の問題
Page 184 追悼・哀悼的言説、遺言の言説と友愛
Page 186 シュミットへの二つの反論
Page 187 !系譜学的図式の脱構築、家族
Page 190 注 見張り
Page 191 注 スタシス、三位一体
Page 195 フロイト 死の欲動
Page 196 性悪説/性善説
Page 197 友と敵の差異
Page 200 政治的概念の抗争的性格
Page 210 両価性、フロイト『戦争と死に関する時評』
Page 211 ?
Page 212 死に向かう存在、死に至る欲動
Page 216 中性、政治的なもの
Page 219 例外状態、決断状況
Page 220 可能性と現実性の同一視、実在的可能性
Page 221 脱政治化と政治化、『負量の概念』
Page 221 !敵(友)は少なければ少ないほど多い
Page 222 脱政治化とグローバル化
Page 222 現象学、形相的還元
Page 223 友/敵の区別の現実性の問い、ハイデガー
Page 224 亡霊=戻ってくるもの、追い返す=抑圧する
Page 226 脱政治化=超政治化
Page 228 注 フロイトの悲観主義、性悪説
Page 229 両価性の法則
Page 229 注 フロイト『集団心理学と自我の分析』
Page 233 対立(対立的否定性)
Page 236 『パルチザンの理論』、ゲリラ、テロ、毛沢東の戦争論
Page 237 パルチザンの土着的性格
Page 243 哲学と闘争
Page 244 後進国ドイツにおけるパルチザンの誕生
Page 245 パルチザンの系譜、ヘーゲルマルクス→レーニン→毛沢東
Page 246 絶対的敵対、兄弟殺しの戦争
Page 247 自然ナ兄弟
Page 248 兄弟誓約
Page 249 問いと闘争、戦略、ハイデガーの存在の問い、『精神について』
Page 250 ポストモダン
Page 252 なぜ友ではなく敵なのか。
Page 254 善=悪を治療する薬(パルマコン)
Page 255 オイケイオテース(親しいもの)、友愛と炉(オイコス)
Page 256 炉=家なき友愛の問い、オイケイオテースなきフィリアの問い、エコノミーなき友愛の問い
Page 276 注 オケイオテース(適合)
Page 287 狂気とデカルトのコギト、敵の喪失→理性の喪失、理性と反感
Page 288 ギリシャ的兄弟愛/キリスト教的兄弟愛、遺言
Page 290 不気味なもの、居場所のない、アリストテレスによる友の定義
Page 291 モンテーニュ『エセー』による友愛の定義
Page 295 完全な友愛の分割不可能性
Page 296 自然な兄弟関係/誓約による兄弟関係
Page 309 注 結婚
Page 311 注 キケロ『ラエリウス、友愛について』

読書をする上でまず第一に大切なことは「資料を完全に制御しうる状態にすること」であり、この点については5年越しの蔵書の電子化とそれに付随する事務処理により一応の解決をみた。
だが、その一方で、一連の電子化の反作用により、白川静が↓のインタビューで推奨しているような「手で覚え、肉体化され」ることで得られる「未分の全体」を含んだ読書体験からはますます遠ざかりつつあるのが問題だ。
おそらく、次の課題は以上の読書の作業工程の中に“手仕事”の要素をいかに取り込むかであり、この課題を早急に解決して有意義な読書生活を送りたいと思っている。

白川 (略)方法は、資料に対するものであって、方法があって資料があるのではなく、資料のなかから方法は導かれるべきものです。私は数万片の甲骨資料をすべて写し、あるいは抄写を試みました。
呉  一点一点トレーシングペーパーに写すのですか。
白川 そうです。一片ずつトレースしておくと主題による分類がいくらでも可能で、事項別に分類することができ、字形の系統化などもできます。まず資料を完全に制御しうる状態にすること、それが第一の基礎的な手続きです。手で写すことは、コンピューターに打ち込むよりも、はるかに有効です。コンピューターは特定項によって作動しますが、手で覚え、肉体化されたものは、いわば未分の全体を含むのです。手で写して新しく得た資料はすでにある資料と感じあい、重畳し、互いに意味づけをしてゆく。
(中略)
白川 ものに部分というものはない。部分は、全体に対して、全体の中においてある。部分が明らかになるときは、同時にその全体が理解されるときです。(略)
白川静『回思九十年』

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参考文献

回思九十年

回思九十年

友愛のポリティックス I

友愛のポリティックス I