2018年を振り返る(音楽)
まとめ
2018年を振り返ると、春はアメリカのラップとRyheの新譜、夏はフジロックの出演アーティストの新旧譜、秋から年末にかけては10年代のシティ・ソウルの旧譜ばかり聴いていた。
ラップでよく聴いたのは、Gold LinkとYoung Thug。Rhyeの来日公演はあい変わらず素晴らしかった。
フジロックはそこそこ天候にも恵まれ、ホワイトステージのユニコーンと、不覚にも事前に全然チェックせずにグリーンステージ後方で居眠りしながら観たAnderson .Paakが特に良かった。サカナクションも会場全体が盆踊り会場みたいになり楽しめた。
シティ・ソウルについては2017年に引き続き荒木町REVOでラム酒を飲みながら70〜80年代のアナログを、同時並行で『シティ・ソウル ディスクガイド』をチェックしながら10年代のものをSpotifyで遡って聴いていた。
シティ・ソウルは、シティ・ポップと違ってまだハッキリとした定義はないけれども、何か共通の文法、共通のテイストらしきものが有るには有る。
範例として
「いきなり1曲あげてしまうと、ど真ん中は、マーヴィン・ゲイの"What's Going on"ですかね。[…]あれくらいのBPM、16ビート・ミディアムでメロウな和声と適度なループ感。(冨田ラボ)」
- 『シティ・ソウル ディスクガイド』P7
それに加えて冨田ラボは、音の質感や演奏内容・アレンジ等に80年代的手法を導入することで「メロディ=輪郭線」を強調する点をシティ・ソウルの特徴として挙げている*1。
今年聴いたアルバムの中で特に印象に残ったものをあえて3枚挙げるとすれば↓のような感じになる。
The Internet - Feel Good
Gold link - At What Cost
Best Songs 2018
No. | アーティスト名 | 曲名 |
---|---|---|
1 | Lil Uzi Vert | The Way Life Goes (feat. Nicki Minaj & Oh Wonder) - Remix |
2 | Young Thug | For Y'all (feat. Jacquees) |
3 | ぼくのりりっくぼうよみ | つきとさなぎ |
4 | Hare Squead | Herside Story |
5 | SZA | The Weekend - Funk Wav Remix |
6 | The Cool Kids | 9:15PM |
7 | Redemption (with Babes Wodumo) | Zacari |
8 | Michael Jackson | Love Never Felt so Good |
9 | Cornelius | Passionfruit - Recorded at Spotify Studios NYC |
10 | Bleu Toucan | Matin a Toucanopolis |
2018年は全体として少し前に発売されたアルバムを後追いで聴いていたせいか新譜まで手が回らなかった。
今年は《同時であれ!》*2をモットーに新譜を聴く比率を意識的に増やしていきたいと思う。
2018年に聴いたアルバム(全81枚)
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註
*1:この点については、日本のオタク文化とアメリカの黒人文化の強シンクロ・強輪郭線・強旋律的な側面を論じた菊地成孔の『アフロディズニー』の第6回『黒人=オタク説』以下の記述との関連も興味深い。
*2:「サルトルによれば、媒介は常に惰性と他有化への逆戻りという結果を招く。議会、政党、権限委譲などは物事の動きを止めてしまう。その逆に、思考と同時であること、出来事と同時であること、集団の意志と同時であることが、サルトルを導く地平となる。政治上、サルトルは知識人として世界の出来事と同時であろうとし、あらゆる政治の前線に身を置こうとした。そのためには、状況の変化に伴う失敗など問題ではなかった。真実は変わる。真実もまた生成するものである。だとすれば、共犯的傍観者にとどまるよりは流れに身を投じたほうがいい。止まってはいけない。体現すること。歴史の時間が自分を貫くに任せること。同時であれ!」 - フランソワ・ヌーデルマン『ピアノを弾く哲学者』